11月29日(木曜)、韓国法務部・法曹人力課に所属する朴起兌(パク・キテ)検事ほか4名の方々が、大阪弁護士会に来訪されました。
2年前の同じ時期にも、韓国の民事法制を担当している法務部の検事が大阪弁護士会に来訪され、日本の民法改正に関する質疑応答を行いました。
今回来訪された方々が所属する「法曹人力課」は、韓国の弁護士試験を担当する部署とのことで、弁護士試験の実施・採点の担当職員も一緒に来られ、日本の弁護士市場や実務修習の現状について質疑応答、意見交換を行いました。
大阪弁護士会から、国際関係、法曹養成、司法修習の各担当副会長、担当委員会の委員長・副委員長の先生方に加えて、通訳の補助者として私が参加しました。
韓国では、日本と同様に、ロースクール(法律専門大学院)制度が導入され、ロースクール合格者のみが法曹となるための弁護士試験を受験することができます。現行の司法試験が2017年で終了しましたので、今後、韓国で法曹となるための唯一のルートが「ロースクール→弁護士試験」となります。
韓国の弁護士試験は、2012年から始まり、2017年まで計6回の試験が実施されています。韓国では、日本と異なり、ロースクールへの入学者・志願者が現時点では減少傾向にはないようで、合格者を減らすべきだとする大韓弁護士協会と増やすべきだとするロースクール協会(ロースクール設置大学による団体)の意見が激しく対立しており、合格者数の設定はホット・イシューとなっているとのことでした。それで、最近5年間における大阪地裁・家裁の新受件数や近畿地方における弁護士の売上・収支の推移等についての質問がありました。
そのほかにも、具体的な弁護士試験の実施に関し、法曹人力課に対して、弁護士会やロースクール協会以外に、弁護士やロースクール生個人、市民からも、非常に多くのリクエスト、意見提出があるようで、1分早く試験が終了させてしまった場合の対処方法や、パソコンを用いた試験方法、地方の試験会場場所の決定方法(韓国では、現在ソウルと大田の2ヶ所でしか行われていないが、今後、試験会場を拡大する方向で検討中とのこと)など、実施に関する細かい質問もありました。
今回の韓国法務部のお話を聞き、韓国では、団体・個人にかかわらず国に対して自由に意見を述べており、政府は、その国民の多種多様な意見に対して真摯に耳を傾け、丁寧に対応しようとしており、政府の国民に対する真摯な姿勢をうかがえたのが印象的でした。
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