1.韓国法務部が、2018年1月29日、「国際私法」全面改正の立法予告を行いました。改正の内容は、個別具体的な国際裁判管轄の規定を導入するものです。
http://www.lawmaking.go.kr/lmSts/govLmPln/1000000152422/2000000219907
「法律新聞」2018年1月25日付記事
https://www.lawtimes.co.kr/Legal-News/Legal-News-View?serial=139617&page=3
2.「国際私法」は、日本の「法の適用に関する通則法」に相当する法律で、事件の当事者の国籍・住所、財産の所在場所、契約の締結の場所などの法律関係を構成する要素が、2つ以上の国などに関係している事件において、どの国の法律を適用するか等について規定しています。
3.従来の韓国の「国際私法」は、第2条で「大韓民国と実質的関連性」がある場合に国際裁判管轄権を認めるという大原則を抽象的に規定しているだけで、具体的な判断基準を定めていませんでした。
今回の改正案は、韓国大法院が判例で示した「実質的関連性」を具体化する基準(当事者間の衡平、裁判の適正、迅速及び経済)を法律に反映するとともに、一般管轄(普通裁判籍)、特別管轄(特別裁判籍)などに加え、民事事件・保全事件・家事事件など事件、法律関係の各類型に応じた個別具体的な裁判管轄を「国際私法」という一つの法にまとめて定めるものです。そのため、法律の構成も大きく変える全面改正の内容となっています。
http://www.lawmaking.go.kr/file/download/7199698/IAG484GXX3WFZWK5PB9E
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4.日本でも、一般民事事件の国際裁判管轄に関する2011年の民事訴訟法・民事保全法の改正に続き、人訴事件・家事事件に関する国際裁判管轄に関する人事訴訟法・家事事件手続法の改正案について、現在、国会で審議がなされています。
今回の韓国国際私法の改正案では、日本と異なり、韓国の民事訴訟法、家事訴訟法等の改正ではなく、国際私法の中に、国際裁判管轄に関する個別具体的な規定を置くことにしています。
5.韓国の立法手続は、政府立法については、所管の政府機関(主管機関)が立法予告を行い、主管機関の長、法制処、次官会議・国務会議の各審査、審議を経て、大統領の裁可を得た法律案が国会に提出されるという流れとなります。韓国の法務部では、2018年5月31日までに、法律案を国会に提出するスケジュールで作業を進めているようです。
今回の国際私法の改正案が国会を通過するかどうかは、まだ分かりませんが、実務に少なからず影響を与えることから、今後の韓国の国際私法改正の動向が注目されます。
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