今年6月30日から7月1日にかけて、韓国・ソウルで開催された第7回日韓バーリーダーズ会議(日本弁護士連合会・大韓弁護士協会共催)に通訳として参加してきました。
その折に、「憲法裁判所 韓国現代史を語る」(日本語版:日本加除出版)の著者で、韓国・京郷新聞社の法曹記者である李範俊さんにお会いしたのですが、そのときに、最近、弁護士が書いた面白い本があるとして「弁護士が経営を語る」(임정근, “변호사가 경영을 말하다”, 타임비즈 , 2017)を頂きました。ありがとうございました。
http://www.kyobobook.co.kr/product/detailViewKor.laf?ejkGb=KOR&barcode=9788928638079
表紙に「韓国経済のホット・イシューを法で照らす!」と書かれているこの本は、韓国の財閥の支配構造・財閥に対する法的規制と、近年韓国国内で話題となっている主な経済事件の法律問題を解説した本です。紹介されている事件は、サムスングループの企業承継に関するサムスン物産・第一紡績(現エバーランド)の合併と韓国国民年金公団による議決権行使、ヘッジファンドのエリオット・マネージメントとサムスン物産の攻防、外国系投資ファンドのローンスターと韓国政府とのISD(投資家対国家間の紛争解決)訴訟、現代商船の再生と韓進海運の倒産などです。
弁護士による本だけあって、報道だけでは分からなかった各事件等の法律上の争点についてきちんと書かれています。サムスングループの李在鎔副会長の刑事事件や韓進海運の破産手続が続いている状況で、非常に興味深く、読み始めてから一気に読了しました。
最近、韓国で買ってきた本「中小企業CEOが必ず知らなければならない法律の話」(중소기업CEO가 꼭 알아야 할 법률이야기,주식회사 양문, 2016)を読了しました。
共著者の高允基(コ・ユンギ)弁護士は、ソウル地方弁護士会で2013年から2016年まで理事を務められ、私が関わっている大阪弁護士会とソウル地方弁護士会の交流会議で、毎年お目にかかっていました。
本の内容は、その名のとおり、韓国国内の中小企業の経営者に、中小企業の経営に関わる法律問題、契約交渉・契約書作成等の留意点について、わかりやすく解説した本です。
日本と韓国の法制度はよく似ているので、概ね、書かれている内容は日本と共通する点が多かったのですが、民事事件に関連する刑事告訴への対応についての記述は、韓国での特徴的な問題だろうと思います。
あと、この本の中で気になったのは、韓国の民法では、法律行為の一部分が無効であるときには、原則としてその全部が無効となる点です(韓国民法137条本文、同書135ページ)。この点は、契約書関係の業務では気を付けないといけないなと思った次第です。
新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
本日より、業務を開始しています。
この年末年始には、仕事を離れて本を読もうと思い、有名だけれども読んだことがなかった「おひとりさまの老後」(上野千鶴子・2007年)も読みました。
対象は「団塊の世代」の人たちだなあ、「持ち家と年金で暮らせる」という設計は私らの世代では既に期待できないなあ、という印象も強かったのですが、「団塊の世代」の女性に力強いエールを送る書であったことも感じました。
夫・子どもに頼る時代ではない。夫・子どもがいない人も多い。自分で決めて自由に暮らしなさい、危機管理は自分で人間関係を作り出して守りなさい、ということでした。
これで解放される感覚、私の世代だと分かる気がします。それより下の世代だと、既にこんな「世間の目」への躊躇は軽く乗り越えているのかもしれません。
「終活」という言葉は今やすっかり定着してきましたが、自分の人生を自分らしく終うということに思いをいたすご相談が、これから増えるでしょう。
弁護士の業務との関係では、ご自身の判断能力が落ちてきたときに後見を依頼したい(任意後見)とか、遺産をどのように生かすのか(遺言)とかいったことで、私もそれに応えられる勉強をしていきたいと思います。
この年末年始休暇は、期間も長めでしたし、私も久しぶりにゆっくり過ごせました。
『格付けし合う女たち 「女子カースト」の実態』 という題名の本を買って読みました。
カースト、という言葉には、人権とか平等とかいう概念と対極の、生きづらく逃れられない境遇をイメージさせられます。
女子カーストって一体なに?という問題意識でした。
読後感としては、まず、感覚の近さを感じました。著者は女子校出身とのこと。思春期を女子校で過ごした後に大学で遭遇する事態についての書きぶりには、同じく女子校出身の私には「なるほど」感がありました。
それも含めて著者から発せられているメッセージを自分なりに受け取ると、こういうことかと。
「女性は、複数集まったときの格付け基準がいくつもある。社会的地位にしても、自分の職業・地位もあれば、夫の職業・地位もある。結婚しているか否か、子供がいるか否か、子供がどの学校へ行くかもある。それが関係の複雑さを生み出している」
「しかし、女性は平等であることに敏感。格付けを競うよりも平等に付き合いたい。その点、『女子』は様々なカーストを超えた平等な関係を築くツールになるのでは」
いかにも「売らんかな」のタイトルの付け方に比して、中身は(特にメッセージには)共感が持てました。
いわゆる「女子力」がない!と常々思う私ですが、誰でも女子として仲良くできる女子会は好きです。
広く平等に関係を築くことができる『女子』の輪を作って、大きなパワーができたらいいですね!
パワーということでいうと、行政の施策に「女性が不自由していること」への敏感さが足りない。それは女性票が組織化されておらず、有権者の声として圧力になっていないからです。
安倍首相が「女性の活用」を言っていますが、それは妻の多大な影響もあるのかもしれません。しかし世の女性も、黙っていないでもっといろいろ言うべきです。
必ずしも女性議員が女性の味方とも限りません。所属政党の施策には離反できないですから。
政策と人柄をよく見て、有権者パワーを行使しなくては。
もちろん、 『女子』に溶け込める男子も歓迎します。生物学的な性を問いません。
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