つい先日、偶然に知ったことなのですが、有益な情報だろうと思いますので、お知らせしたいと思います。
離婚を考えている夫婦が、二人で話し合おうと思っても感情的になってうまくいかないことはよくあります。どんどんこじれて、顔を見るのも声を聞くのもいやになってしまいます。
早いうちに間に入ってくれる人(少し前だと「お仲人さん」という人がいたのですが、今はほとんど見かけないですね)がいるとよいのですが、お友達や親戚の方で適当な人がいないということも多いです。
いや、弁護士のところまで相談に来られる方は、残念ながらそうした間に入ってくれる人がいないから、こじれてしまっているのでしょう。
そうすると、早いうちに間に入ってくれる第三者がいないか?ということになりますが、その役割を果たすのが、家庭裁判所の「調停」になります。
制度的にも、日本では、協議離婚ができないばあいには調停での話し合いをし、それでもダメな場合には裁判手続で決めることになっています(「調停前置主義」といいます。)
ところが家庭裁判所の「調停」は、平日の10時から17時までの間でしか行ってくれないという限界があります。
「人生の一大事なのだから、月に1度の調停の日くらい仕事の都合を付けるべきだ」
という考えによるものかとは思いますが、しかし、離婚を渋る相手方を調停に来させたくても、「仕事が忙しい」と言われて来てくれないと、結局、「訴訟」の心理的ハードルの高さに気が萎えて、相手方の言うままの離婚条件で離婚届にサインをもらうしかない、という不都合が生じます。
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ところで、家庭裁判所以外の機関で「調停」を行ってくれるところがあるのを、最近知りました。
公益社団法人 家庭問題情報センター(略称「FPIC」)という団体があります。
家庭裁判所で調査官を務めていた方々が作っている団体です。
全国10箇所に「ファミリー相談室」を設置しており、「大阪ファミリー相談室」は大阪家庭裁判所の近くにあります。
「相談事業、調停事業、面会交流援助事業」
「後見事業、公正証書遺言者支援事業」
「家庭問題の調査・研究事業、セミナー・講演会開催事業、講師・鑑定人の推薦事業、子の引渡し強制執行の立会人又は執行補助者の推薦事業」
と、家事事件を遂行するときにはなかなか助けになりそうな業務を行っています。
私が最近知った経過というのも、公正証書遺言の作成をするとき、証人になってくださる第三者を公証人に推薦していただいたところ、大阪ファミリー相談室から派遣された方が来られたということからでした。
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今回、私が紹介しようとしていますのは、FPICが行う「離婚協議等調停手続(ADR)」です。
http://www1.odn.ne.jp/fpic/chotei_tetuduki_annai.htm
ADRとは、「裁判外紛争解決手続」のことで、裁判所以外の民間機関による紛争解決のシステムです。
FPICは、「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」に定める認証手続を受けた「認証紛争解決事業者」として、離婚協議等の調停をする権限を持っています。
「認証紛争解決事業者」であれば、その調停手続が不調に終わったとき、家庭裁判所の調停を経たのと同様の効果が生じ、次に裁判手続をとることができます。「調停前置主義」の「調停」をしたことになるわけです。
そして、FPICによる調停手続の特色は、
「夫婦同席で行うこと」(*家庭裁判所は今のところ別々に話を聞くのが主流です)
「休日・夜間でも対応し、短時間での話し合いを促進すること」(*家庭裁判所は平日日中のみ、概ね月1回ペースです)
「開始時に双方3000円ずつ負担。調停実施1回毎に双方1000円ずつ負担」(*家庭裁判所は申立人の方が2000円を負担、回数が嵩んでも追加はありません)
ということだそうです。
http://fpic-osaka.org/adr/information/
休日とは土曜日のこと、夜間とは午後6時から開始することのようですが、「個別の要望に沿って上記以外に設定することもできます」とありますから、日曜日やもっと遅い時間も可能なようです。
「夫婦で顔を合わせて話し合いなんて無理無理!」というところまで関係が悪くなっていたら使えませんが、まだお互いに「第三者のいる場だったら冷静に話ができそう」という段階であるなら、この調停手続も利用する甲斐があるのではないかと思います。
この調停手続では弁護士は要らないような気がしますが、事案の早期解決のためのツールの一つとして、ご紹介いたしました。
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